一年のおわりに。
すごく、そばにいたい時。たとえば、犬になって、おかえり〜って、尻尾を、ふって、目をきらきらさせて、とびついたりしない。
すごく、そばにいたくても、待っていたそぶりもみせずに、猫になって、毛ずくろいしながら、あらっ、遅い帰りね。なんて、目を、細めながら、みる。
それから、ゆっくり、動いて、本当は、はしりだしたいのに、ゆっくり動いて、足にすりよる。ひざにのせてって、甘える。
それから、ざらざらの舌で、ちょっと、手をなめて、頭をなでてもらって、のどを、ごろごろさせるんだ。そして、ゆっくり、ゆっくり、話しがいたいんだ。
めりーくりすますでした。
送ったメリークリスマスのメールの、返事がこないね。季節ごと、いっしょに、すごしたはずなのに、クリスマスは、いっしょにいたことがない。それが、今、いっしょに、いられない原因かもしれないね。
北育ちの、雪はみなれているはずの、コウが、車をとめて、
雪虫だよ。ダイヤモンドダストだね。きらきらしてる。俺、これが好きなんだ ぁ。
雪なんて、10年に一回くらいしか、降らない南育ちの私は、コウの言葉と、景色と、両方に酔う。うっとりする。
素敵だね。そんな風に感じるコウが、大好きだよ。そんな言葉も、口に出す事ができないほど、憧れて、ひかれすぎてた。
きれいだね。そんな口から出る言葉より、もっとたくさんの言葉を、もっていたのに。。。。
結婚しました。そして 僕にも、いっしょにいてくれる人ができました。ふたりで、正確には、2匹で、幸せな家庭を築いて、子供を、たくさん育てようと、大西洋を、回遊しながら、約束しました。
僕達は、どちらが、育った川に遡上しようかって、よりそって泳ぎながら、相談している鮭です。
彼女が、暗い顔をして、
私の川は、もう、すっかり、コンクリートで、固められて、登ることなんて、できないわ、きっと。河川改修なんて、いうそうよ。とても、きれいで、おばあさんもひいおばあさんも、そのまた、おばあさんも、私達は、ずっと、この川といっしょにいたのに。私の兄弟も海にでるまでに、みんな死んでしまったの。
っていう。僕は、胸をはって、
僕の川は、ちょっと、大きくなるまで、天敵もいないんだよ。餌にも、困らないし、川のせせらぎが、ぶくぶくって・・・・・ぶくぶく・・?
まあ、いい所だよ。子供を、育てるには、ぴったりさっ。
僕の川に決めて、よりそって泳いで行く。川が近ずくにつれて、僕は、・・こんなはずじゃない・・と思いながら・・苦しそうな彼女に声をかける。
上流は、すごくきれいだから、大丈夫だよ、がんばって、登ろうね。
うなずく彼女を、見ながら、僕は、どんどん不安になる。僕の記憶の中に上流の景色がないのだ。でも、僕が育ったきれいな水の岩場が、たしかにあるはず。
記憶・・・・
きれいな水、ぶくぶくという音。。
見覚えのある景色。そこから、上流の記憶がない。。。あっ。僕は、ぼくは。
僕は、せまい水槽の中で、育ったんだ。そして、この川に離され、放流っていってたな。苦しくて苦しくて、やっとの思いで、海にたどりついたんじゃないかっ。忘れてしまいたかったけれど、忘れてはいけなかった。
コンクリートの壁が、僕達の行く手をふさぐ。
ごめんね。彼女にいいたくて、横をみる。チカラつきた彼女が流れにおされていく。あとを、追うけれど
鮭がかえってきた〜!人間の歓声とともに、永遠の別れになってしまった。
またっ。
寒くなってきたので、厚いコートを、ひっぱりだす。クリーニングに出し忘れてたみたい。白いコートなのに、薄汚れている。
今日、着ていきたかったのに、ため息がでる。
何か入ってる。ポケットの中に、貝殻。冬の海の音がする。ざざ〜ん。横には、コウがいる。今はいないのに、手のひらにのせた貝殻の横で、笑ってる。
ここにいたんだ。。抱きしめたくなる。
隣の芝生は、やっぱり、青いんだろうね?
ねえ、宗教の勧誘がきたんだよ。来世にはね。家が、みんなに与えられて、今の家族のまま、幸せに、暮らせるんだって。
私は、あなたが、来世も、私といっしょって、おもってくれることを、期待して、ちょっと、いってみた。
来世も、同じなの?違う人生がいいな。
そういって、笑う。本当に、自分のことばかり、いうんだよね。でも、たまに、興味もないくせに、そして、きいてないくせに、
今日は、どうだった?って、私の仕事の話をききたがる。そんなあなたの横は、居心地がよくて、来世も座りたいと戯れに思う私は、かわいいものでしょ?
ちょっと、飲み過ぎた帰り道、ふと、思う。
やっぱり、好きだったよ。。。
歩きながら、みんなと別れる時もらった、飴の包みをむく。光りを、吸いながら流れている川が、呼んでいるような気がして、投げ込む。
ぽちゃん。小さな音が、心に響く。
やっぱり、好きだったよ。。つぶやく。小さな声で、何回も。好きだったよ。好きだったよ。好きだったよ・・・・
心の壁が、待っていたとばかりに、鳴っていく。
酔いがさめたら、また、壁が心を、閉ざすことがわかっていながら、堰をきったように泣くんだ。
こんにちはーと、初めて、会った時には、もう、好きになっていた。心が、リンって、なったような気がした。コウは、ちょっと、冷たい視線を、なげかけて、たぶん、ああ、とか、よおっ、とか、そんな言葉しか、なかったような気がする。
あとから、最初におまえを、見た時、うわあッ、変なやつって、思ったよ。っていわれて、それを、聞いた私のほうが、うわあッだったけどね。
仕事が終わってから、みんなで、ごはんつくったり、かたずけたり、ひたすら、そばにいるように、してたんだよね。必死の、売り込み作戦!?少しずつ、話すようになって、いっしょにいるようになっていった。必死だからね。
みんな酒飲みで、泥酔も年中行事だった。そんな、冬のある日スノーモービル2台で、2人乗りで、4人で、出かけた。雪が頬にささるのも、気持ちよかった。っと、おもっている間に、空になげだされ、次の瞬間、雪が口から飛び出す。しこたま、雪をごちそうになったみたい。
『おい、あっぶないな。酔っぱらってるよ。帰ろう』あきれた口調で、ケンがいう。大丈夫?心配そうに一緒に乗ってるじゅんこがいう。
『うん』と、返事をしていると、スノーモービルを、たてなおしたコウが、
『おい。いくぞー。こっちにこい』ってよぶ。いそいで、コウの背中につかまる。死んじゃうよ、あぶないよーと、心配気な声をふりきって、また、飛ばしはじめる。ここで、死んでたら本当に、幸せだよね、そして、コウもそうだったらいいなと、内心そうだと思い込んでいた。
ごく普通に何事も起こらずに、日常生活にもどって、子猫がじゃれるような毎日を、くりかえしていった。ある日、指輪を、コウがみせてくれた。『いつか、結婚する人にあげるんだ〜』って、いった。
そして、続けていった『おまえには、まだ、あげない。』コウが、遠く見えた。その日から、私の好きが大きくて、いつか、それを、コウが拒んだらどうしようという不安のほうが、大きくなった。
コウのそばにいることが、楽しいという気持ちを、不安がこえてしまった。楽しい、コウのことが好きなまま、そばから、離れたほうがいいのかもしれないと、
『私、家に帰るよ』と、コウにいった。家にかえったら、二度と、会えないかもしれない。それは、コウもわかってくれると、思っていた。でも、
『俺、あした、釣り大会だから、送っていかないけど、元気でな。』『うん』
このまま、別れて三年経った。友達のじゅんこが、久しぶりに、コウにあったら、また、泥酔してたって。そして、どうして、帰っちゃたんだろー なぁって、繰り返し、いってたよって、教えてくれた。
言葉がたりなかった、コウと私だけど、また、冬がくるね。一緒に飛ばしに行けたらいいな。
何か先生に手伝えることがある?
三者面談だった 。先生、親そして、僕。親もクールな目をしてる。学校には、親も、僕も何も期待していない。
強いていうなら、この茶番劇を、早く終わらせて、帰してほしいってことだけなのだが・・・・
先生らしくアドバイスが、したいらしい。・・・・・どうでもいい。が、頷きながらきく。人間ちゃんとしなければ、いけない時は、ちゃんとするのだ。それが、要領ってものらしく、生きて行くためには、とても、必要なものらしい。
そうだ。返事をしなければいけない。先生にやってほしいことといえば、その濃いマスカラを、おとしてほしいことと、おこちゃまちっくなしゃべりを、とめてほしい。そのくらいなのだ。
でも、僕は、きちんと返事する。『将来を、考えていますので、決めたらお願いします』どうだ、完璧?